純度100%への挑戦

matsu112006-04-05

お酒のアルコール度数を上げるにはどうすればいいでしょう?
答えは簡単です。
中学校の理科でやった蒸留という方法で、沸点の違いによってエタノールと水分を分離させてやればよい。


話を金属に移しましょう。
金属はほとんどの場合(金などは除外)、天然で混合物や化合物として存在します。
化合物は酸化還元処理により金属の混合物(不純物の混ざった金属)にすることはできます。ここから金属の純度を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?
これには水とエタノールのように気体にして分離という方法は使えません。
この答えの手がかりは、意外な身近なものに隠されています。

その身近なものとは・・・
凍らせたペットボトル飲料です。
みんな一度はペットボトル飲料を凍らせたことがあるでしょう。
そして完全にそれが融けきる前に飲んでしまうと、
「あれ?なんか異様に甘い。」
と感じてしまう。
ペットボトル飲料(特にスポーツ飲料)なんかは混合物です。
純粋な液体の状態では均一な濃度で混ざっていますが、液体と固体の共存状態では液体と固体の中の濃度に差が生まれるのです。


この原理を使って金属の純度を上げていきます。
具体的には金属の試料を棒状にし、それを一方向に進み微小領域を加熱できるようなヒーターを使って連続的に
固体→加熱により液体→冷却により固体
の状態変化プロセスを作り出してやる。
これを繰り返すことにより、金属中の不純物が棒状の一端に集まり他端には純度の高い金属ができる。
あとは不純物の集まった端を切ればよい。
更に純度を上げるには同じ事を繰り返せばよい。


気づいた人もいるかと思いますが、ここまでの話で「純粋な金属」という言葉は使いませんでした。
「純粋」という言葉には「100%の純度の」という意味合いが含まれてしまうためです。
純度100%の金属は作れません。
現在、ten-nine(99.9999999999%)までの金属を作ることができます。
純金・純銀と呼ばれるものも実はわずかに不純物が含まれているのです。
女性の方、お間違いのないように☆