WTCビル崩壊の謎

あれから5年も経ったんですね。


今日、特番を見ていたらWTC(ワールドトレードセンター)が崩壊するときのメカニズムの説明をしていました。
解説していたのはなぜかアメリカの法務省のお役人。なんで???
「柱の周囲の部屋の温度が1300℃異常になり、鉄骨が溶けて・・・」という説明を放送していました。


金属を専門にしている人、もしくは少しでも鉄鋼についての知識がある人ならこの説明に疑問が残るはず。
なぜなら、1300℃以下でも鉄骨が崩壊する要因が存在するからです。


どうしてそのような要因が存在するのかを説明する前に確認しておくことがあります。
1.鉄骨は純粋な鉄ではなく、純粋な鉄に数%の炭素を含ませている。
ということ。
純粋な鉄の場合、変形しやすく錆びやすいため構造材料になんて使えないのです。
そしてもう一つ、
2.物質の固体にはいくつかの異なる固体が存在することがある。
ということです。
実は氷にもいくつかの異なる固体(結晶の構造が異なる)が存在します。


鉄骨に使われている鋼鉄(以下、単に鉄とします。)にもいくつかの構造が異なる固体が存在します。
ここで衝撃の事実!
(炭素の含有量にもよりますが)鉄は1000℃以下で「異なる固体」に変わります。
鉄のその強度は鉄の結晶構造に由来し、「異なる固体になる」ということは結晶構造も変化することを意味します。
つまり…鉄は1000℃以下でその素晴らしい強度を保つことが出来なくなります。
高層ビルを支えるだけの強度を持たない鉄骨は建物の重みでつぶれ、ビルが崩壊するというわけです。


実はもう一つテレビでの説明に疑問を感じる所がありました。
「周囲の温度が1300℃以上になり、それが1時間続いた」と言っていましたね。
では、ライターの火の温度はどのくらいあると思いますか?
試しに1円玉をライターで熱してみてください。(火事にならないように注意!!)
1円玉はとけましたか?
ちなみに1円玉に使われているアルミニウムの融ける温度は660℃です。
もちろん火の温度は火を発生させている物(燃えているもの)によって異なり、物によっては数千度の温度にすることも可能です(ナパーム弾が3000℃くらいあったような…)。
でも普通のオフィスに、燃えて1300℃の熱を出し、その温度を1時間も持続させるくらい量がある物があるとはとても思えません。


WTCの崩壊」は日常起こりうることのない、特別なケースなんだ。
そう思わせる事を意図した説明だと解釈することもできますね。
ところがこのような高層ビルの崩落は上記のように、火災だけでも起こる危険がある!
私たちに知らされる情報は全て正しい情報だとは限らないのですよ。